モビールとは、わずかな空気の流れにも反応して動く彫刻の一種です。
天井からぶら下がって、ゆらゆらとバランスを取りながら不規則に動くオブジェのようなものです。「オブジェ」というか「インテリア」というか「玩具」というか・・・厳密に「これ」という呼び名がないので「ようなもの」となるわけです。
モビールの多くは、紙・糸・針金で構成されています。その他、木・フェルト・塩ビ板・繭など、さまざまな素材で作られています。
モビールは動くオブジェ(のようなもの)ですが、モビール自体に動力はありません。電池で動く赤ちゃん用のモビールもありますが、基本、空気の流れに反応して動きます。 空気の流れは「窓から入る風」であったり「扇風機やエアコン」が生む対流であったりしますが、私たち「人」が動く事によって生み出す対流が、一番相性の良 い動力源です。
少し離れたところから、モビールに向かって息を吹きかけます。しばらくすると止まっていたモビールがゆっくり動き始めます。空気の伝わり方が見えてきますね。私たちがモビールのそばで動いたとき、それに呼応するようにモビールも動きます。モビールは「人」を必要としています。もちろん鑑賞してくれる人も必要ですが、共に暮らしてくれるパートナーとしても求められています。
モビールは手に入れた時点では「未完成」です。「人」と暮らして初めて「完成」するのです。
■アメリカの彫刻家アレクサンダー・カルダー(1898-1976)が、現在のモビールの原型を創作して美術家マルセル・デュシャンがそれを「モビール」と名付けました。「モビール」の語源は「動き」と「動機」という二重の意味を持つフランス語です。